ネガティブな「前フリ」 Mr.Children 「ALIVE」

Mr. Childrenの名曲「ALIVE」という曲をご存知でしょうか。

1997年にリリースされたアルバム「BOLERO」に収録されている曲です。

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このブログでは、タイトルからもわかるように「お笑い」について書いていくつもりでしたが、最近あらためて「ALIVE」の凄さに圧倒されたので、どうしても書きたくなってしまいました。。

 

私は高校生の時にこの曲を初めて聞きましたが、正直言って衝撃でした。

何が衝撃かというと、とにかく暗いんです。とにかく暗くて、曲を聴きながら連想したのは太宰治の「人間失格」でした。この作品を作った人は、完成させた後に死んでしまうのではないかと。

 

ですがこの曲に感動したのは、初めはとにかく暗くてダークな雰囲気なのに、曲調や歌詞が変化していき、最終的にはとても前向きな曲に変わることです。

音楽によって「ネガティブな感情をポジティブな感情に昇華できる」ということに感動を覚えました。ここはお笑いにも共通しているポイントかと思います。

 

以下、歌詞についての私の勝手な解釈です。

ネガティブに思える歌詞とポジティブに思える歌詞で色分けしています。

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この感情は何だろう 無性に腹立つんだよ
自分を押し殺したはずなのに
馬鹿げた仕事を終え 環状線で家路を辿る車の中で

全部おりたい 寝転んでたい
そうぼやきながら 今日が行き過ぎる

手を汚さず奪うんだよ 傷つけずに殴んだよ
それがうまく生きる秘訣で
人類は醜くても 人生は儚くても
愛し合える時を待つのかい

無駄なんじゃない 大人気ない
知っちゃいながら Uh さぁ 行こう

夢はなくとも 希望はなくとも
目の前の遥かな道を
やがて何処かで 光は射すだろう
その日まで魂は燃え

誓いは破るもの 法とは犯すもの
それすらひとつの真実で
迷いや悩みなど 一生消えぬものと思えたなら
ボクらはスーパーマン

怖いものなんてない 胸を張ってたい
そして君と Uh さぁ 行こう

意味はなくとも 歩は遅くとも
残されたわずかな時を
やがて荒野に 花は咲くだろう
あらゆる国境線を越えて
Uh… Uh… Uh… Uh… Uh… Uh… Uh… Uh…

さぁ 行こう
報いはなくとも 救いはなくとも
荒れ果てた険しい道を
いつかポッカリ 答えが出るかも
その日まで魂は燃え

夢はなくとも 希望はなくとも
目の前の遥かな道を
やがて荒野に 花は咲くだろう
あらゆる国境線を越え…

歌:Mr.Children

作詞:桜井和寿

作曲:桜井和寿

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 このように色分けをしてみると、1番の歌詞はほとんどがネガティブな印象を受けます。

ただ、1番のサビ前で唯一前向きな言葉、かつ、この曲全体で最も前向きな言葉は「さぁ 行こう」 ではないかと思います。

さぁ 行こう」はこの曲に3回出てきますが、この言葉があることによって、それまでのネガティブな歌詞が全て「前フリ」のようになっています。

特に1番の「知っちゃいながら Uh さぁ 行こう」というのは一番前向きだと思います。なぜならそれまでのネガティブな感情を捨て去るわけでもなく、知ってはいるけど前を向くのだという強い意志が感じられるからです。

 

この「さぁ 行こう」によって、それまでのネガティブな歌詞がポジティブな歌詞を生むための「前フリ」になるのだとすれば、2番以降に出てくる一見ネガティブに思える歌詞は、もはやネガティブではないのかもしれません。

 

特に

迷いや悩みなど 一生消えぬものと思えたなら
ボクらはスーパーマン

怖いものなんてない 胸を張ってたい

この部分は、曲全体の中で一番好きな部分です。

一見ネガティブに思える感情を受け入れて、前を向いているイメージを強く受けます。

 

また、サビで前向きな言葉が並びますが、この前向きな言葉があることを知ったうえで、それまでのネガティブな歌詞を見ると、このサビを際立たせるための「前フリ」に思えてきます。

やがて何処かで 光は射すだろう
その日まで魂は燃え

やがて荒野に 花は咲くだろう
あらゆる国境線を越えて

いつかポッカリ 答えが出るかも
その日まで魂は燃え

 

そして、この歌詞の中で色分けをしていない

目の前の遥かな道を

残されたわずかな時を

荒れ果てた険しい道を

この部分は、ポジティブでもネガティブでもなく、現状を客観的に認識している部分かと思います。1番では「遥かな道」と言っておきながら、2番では「わずかな時」と歌っています。確かに人生の中で、何かが永遠に続くように思えるようなこともあれば、例えば周りの人の訃報などに接し、残された時間があまりないことに気づくときもあるので、それをうまく表現していると感じます。

 まとめ

ここまで長々と書いてきましたが、Mr. Childrenの「ALIVE」を一言で表現するとすれば、『ネガティブな前振りを散りばめて、「さぁ 行こう」の一言で ポジティブに変換する曲』と言えるかもしれません。

 

実際に聞いてみて、勝手に解釈して欲しいです。

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